差押禁止の意味を失わせる「預金の差し押さえ」を認めない!とは?

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あけましておめでとうございます。

南関すみれです。

本年もどうぞよろしくお願いします。

本年の第1発目は

 

差し押さえ禁止の意味を失わせる「預金の差し押さえ」を認めない!

 

差押が禁止あるいは制限される財産があるということをご存知でしょうか?

たとえば有名なものとしては、給料です。

こちらは、差押が制限される財産ということになっています。

生きていくために必要な財産ということで、給料に対しては全額の差し押さえは不可、ということになっています。

こちらは民事執行法に規定があります。

その他、特別法において差押がまったく禁止される財産があります

たとえばその受給者の生活を守るという目的のため、公的な保護・援護等として支給される金品などを差押禁止とする法律が存在します。

 

差押禁止、差押制限財産を差し押さえる、ある方法とは?

 

ただ、ある方法を使うことにより、

差押禁止あるいは差押制限財産を法がもうけた目的が守られない

差押禁止あるいは差押制限をかいくぐって、差押が可能となる方法が存在します。

 

 

それは、いったん「預金」にはいるということです。

 

いったん「預金」通帳にはいってしまえば、お金の性質がかわる

もはやそれは差押禁止、差押制限財産じゃないんだーという考え方です。

 

この考え方は、最高裁判所平成10年2月10日判決において確認されています。

 

この判例をもって、今、自治体によって、いったん「預金」にはいった公的な給付をすぐ差し押さえるということが行われています。

 

これをくつがえす裁判例はないのか?

 

あります!

それが、鳥取県児童手当差押え事件判決

といわれる裁判例です。

 

どのような裁判例なのか?

 

これは、最高裁判所平成10年2月10日判決をふまえたうえで、

児童手当給付後すぐの預金差押えを

実質的には、児童手当を受給する権利自体への差し押さえと変わりがないと判断した裁判です。

 

そりゃあそうじゃろう!これは画期的な裁判じゃー

 

という、これはわたしの感覚ですが

最高裁判所平成10年2月10日判決と、鳥取県児童手当差押え事件判決の整合性を

どのように考えるのか?という問題は残ります。

 

現在のわたしの考えは、

差し押さえにより住民が生きていくことすらが困難になるような差し押さえは、これは本末転倒であるーーー

2つの判断は矛盾せず、自治体による差し押さえという事情がその判断におおきくかかわっていると考えています。

 

 

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